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お灸は「罰」ではなく「ご褒美」。鍼とお灸、どっちがいいの?

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鍼灸師はその名の通り、鍼とお灸を使って施術します。  皆さんは、鍼とお灸、どちらが好きですか? 「いやいや、どっちも苦手だよ」という方も、結構いらっしゃると思います。 お灸には、「お灸をすえる」という言葉があるように、罰のイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。 実際、昔はお灸が罰として使われていたこともありました。 また鍼には、「怖い・痛い」というイメージがありますよね。 鍼灸学校の生徒や先生の中にも、「鍼を打たれるのは苦手」という人は意外と多いものです。 そんな中で、私はどちらかというとお灸が好きです。 自分でも、2日に1回くらいはお灸をしています。 最近は温活ブームの影響もあり、お灸は少しずつ見直されてきているように感じます。 私自身、お灸の良さを実感しているので、できる限りお灸を中心に東洋医学の施術を行いたいと考えています。 では、お灸と鍼、どちらが効果的なのでしょうか? 実は、共通している部分もあります。 それは、痛みと熱さを感じる皮膚下の受容器や、脳に伝わるルートが同じであるという点です。 これは、ケガややけどなどの危険を察知するための仕組みです。 そのため、鍼もお灸も「下降性痛覚抑制系」という働きによって、痛みを抑える効果が期待できます。 もう一つは、「軸索反射」と呼ばれる反応です。 これは、熱さや痛みを感じたときに、脳に伝わる前の段階で血管を拡張したり、痛みを和らげたりする仕組みです。 この作用も、鍼とお灸のどちらにも共通しています。 では、お灸にあって鍼にないものは何でしょうか。 それは「熱」の効果です。 お肉を想像してみてください。冷えて硬くなったお肉や、白く固まった脂も、熱を加えると柔らかく、サラサラになります。  人間の体も同じです。冷えて滞っている場所を温めることで、組織を柔らかくし、巡りをスムーズにする。これは、物理的な「熱」を伝えるお灸ならではの得意分野です。 この「温める力」は、お灸ならではの特徴であり、鍼では得られない効果です。 一方で、鍼にあってお灸にないものもあります。 一つは、ファシア(筋膜)リリースによる痛みの改善です。 慢性的な痛みの原因に、筋膜の間に痛み伝達物質が溜まっいることがあります。この物質を、鍼によって解放し、流れを良くすることができま...

東洋医学はなぜ「怪しい」と思われるのか?それでも私が信じる理由

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  西洋医学が普及する以前、日本では主に東洋医学が用いられていました。 当時は、多くの病気が鍼灸によって治療されていた時代です。 西洋医学には即効性や再現性といった優れた点が多くあります。 そのため、現在では医療の中心となり、東洋医学は主流から外れていきました。  古典的な東洋医学の考え方は、現代医学や科学に慣れた私たちにとって少し理解しにくい部分があります。 特に「エビデンス(科学的根拠)」という観点では、説明が難しいものも多くあります。 その理由の一つは、東洋医学がサイエンスではなく、哲学的な側面を持っているからだと思います。 そのため、ときには「なんとなく怪しい」と思われてしまい、十分に普及していないのではないでしょうか。 しかし、東洋医学にも良いところがあります。 東洋医学は「○○という病気を治す」という考え方ではなく、 「自分の力で自然に病気を治せる状態にすること」を追求しています。 例えば、胃が痛いとき。 普通は「胃に原因がある」と考えますが、東洋医学では「体全体のバランスが崩れた結果として、胃に症状が出ている」と捉えます。 そして、単に痛みを抑えるのではなく、 自分の力で回復できる状態にどう戻すか を重視します。 この考え方は、「健康に生きたい」という人間の本能に自然と響くものがあるのではないでしょうか。 東洋医学で重要な概念に「気」があります。 「気」は目に見えず、現代生理学的に考えるのはナンセンスかもしれません。 しかし私たちは日常的に、 ・元気がある、元気がない ・やる気が出ない ・気力が落ちている といったように、「気」という言葉を自然に使っています。 完全には説明できなくても、なんとなく動きのもととなるものという感じで、曖昧にもその存在を感じているのではないでしょうか。 疲れて気力が落ちているとき。 東洋医学では「気海」や「関元」といった下腹部のツボ(経穴)にアプローチすることで、気が満ちて元気が出ると考えられています。 科学的なエビデンスはありませんが、 この部位には免疫に関わる腸があり、骨盤内の副交感神経とも関係している可能性もあるのではないでしょうか。 証明はできないけど、実際やってみると効果を感じられます。 東洋医学は、科学で証明されているわけではありません。 しかし、長...

高額な寄付ができるほどの裕福さはないけど・・・私ができること

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マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、全資産に近い約29兆円を寄付すると言われています。欧米では、富裕層が社会へ寄付することが当然の文化として根づいているようですね。 私には人のお役に立てるほどの金融資産はありません。 今は、2人の子どもと自分の生活を維持することで精一杯です。 それでも、子どもたちが自立し、家族の生活が落ち着いたとき、やりたいなと思うことがあります。それは、「カフェのように気楽に通える施術所をつくること」です。 韓国ドラマ『馬医』には「恵民署」という、誰でも医療を受けられる施設が登場します。 ドラマの中では、無料で治療を提供するために知恵を絞る姿が描かれていました。 私は医師ではないので、病気を治すことはできません。 しかし、鍼灸マッサージ師として、東洋医学の真骨頂である「未病ケア」はできます。 「病院へ行くほどではないけれど何となく体調が悪い」 「肩がこる」「冷えがある」「風邪の引きはじめかも」「腰や膝が痛い」―― そうした状態を放置すると、やがて本当の病気につながることがあります。 日々のケアによって、それを防ぎ、健康を維持するのが未病ケアだと考えています。 とはいえ、日常では「お金をかけるほどではない」「時間がない」など、未病ケアを後回しにしがちな理由も多いと思います。 だからこそ、日常の習慣として無理なく続けられる場所が必要ではないでしょうか。 ちょっと疲れたなと思ったら、気楽に施術所で体をメンテする。 高齢化が進む中、元気に暮らせる人が増えれば、本人は幸せですし、医療費や社会保障費の負担も軽くなり、社会全体にとっても良いことだと思います。 私は、誰もがカフェに通うような感覚で、金銭的負担を気にせず未病ケアができる施術所をつくりたいと思っています。 これは私の人生後半の一丁目一番地の目標。 大きなお金を寄付することはできませんが、微力でも社会に役立ち、私も幸せになることを実現したいと思っています。

人生で思い切ってチャレンジできる時期は2回あるのでは!

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テスラの創業者イーロン・マスクは、起業を目指す学生への講演でこう語っています。 年齢を重ねるほど背負うものが増え、リスクが取りづらくなる。 家族ができてから挑戦すれば、家族にもリスクを背負わせることになる。 だからこそ、背負うものが少ない若いうちにチャレンジせよ。 私は、この言葉に強く共感します。 私は小さな2人の子供を背負いながら、サラリーマンを辞めて起業しました。比較的若いときだったのであまり何も感じていませんでしたが、振り返るととてもリスクが高かったと思います。 しかし、若いとき以外にもう一つチャレンジにふさわしい時期があると感じています。 それは、 再び背負うものが軽くなったタイミング です。 私の2人の子供は、大学生、高校生になり、 背負っているという感じは少しうすれてきました。  だからいまが2度目の思い切ったチャレンジをする時だと思っています。  そして若いころのチャレンジではなく、この時期からのチャレンジは、  背負うものがない分、自分や家族のためではなく、 純粋に社会や人のため役立つことに 力を注ぐことができます。   人類が少しでも発展できるよう、人が少しでも快適に過ごせるよう 全力で新たなチャレンジしていきたいと思います。  施術所と商品開発、その融合に再び情熱を注ぎたいと思います。

肩こりに指圧マッサージ+鍼灸が最高の組み合わせと思う理由

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私なりに思う、指圧マッサージと鍼灸の良さをお伝えします。 ■ 指圧マッサージの良さ まず指圧マッサージの良さは、 人の手だからこそ得られる安心感と心地良さ です。 こり固まった肩をほぐしてもらうときの、あの「ふっと力が抜ける気持ちよさ」は、鍼では出せない魅力です。 科学的にも、以下の効果が知られています。 セロトニン(幸せホルモン)の分泌  5分以上、肌に優しく触れられるとセロトニンが分泌され、気分が落ち着き、幸福感が高まります。 ゲートコントロール作用(痛みの軽減)  お腹が痛い時、自然と手を当てますよね。  触覚刺激が痛み刺激より先に脳に伝わり、痛みが軽く感じられる現象です。 血流・リンパの改善  筋肉を動かしながら手で流れを助けることで、血流やリンパの循環を促します。 「触れられること」そのものに、心と体を整える力があると感じています。 ■ 鍼灸の良さ 鍼灸は何千年もの歴史があり、その説明はとても奥深いです。 若輩者の私見で恐縮ですが、私が感じる良さは、「お灸」と「鍼」で少し異なります。 ◎ お灸の良さ — パワーを補充する お灸は、弱ったところに 火のエネルギーを補う ような感覚です。 特に「ツボ(経穴)」に施すことで、その効果を強く実感します。 なぜか弱ったツボからは火のパワーが入り込み、他の場所からは入り込みません。 正直、今でもとても不思議ですが、それこそが東洋医学の魅力だと思います。 そして、自然植物のよもぎから作るもぐさを燃やすことで、自然の火のパワーをからだに取り入れることができるのも、お灸のよいところです。 その他に鍼と同じ生理的効果もあります。 ◎ 鍼の良さ — 科学的に証明された作用 私は東洋医学が大好きですが、鍼については 物理療法としての可能性 にも大きな魅力を感じています。 鍼には、科学的に以下の作用が示されています。 下降性痛覚抑制系による鎮痛作用  鍼刺激により、脳から「痛みを抑えろ」という信号が出て  セロトニンやノルアドレナリンが分泌 → 痛みの伝達が抑制。 内因性オピオイドの分泌  体内の“天然の鎮痛物質”が増え、痛みが和らぎます。 血管拡張による血流改善  血流が良くなることで、肩こりなど血行不良による症状に有効です。 筋膜(fascia)リリース  鍼で筋...

東洋医学は陰陽・五行・虚実でからだのバランスを整えます

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東洋医学では、体の状態を 「陰陽」「五行」「虚実」という考え方で捉えます。 【陰陽説】 世の中のすべてのものは「陰」と「陽」に分けられます。 昼は陽、夜は陰。 夏は陽、冬は陰。 天は陽、地は陰。 陰と陽はどちらか一方では成り立たず、 互いにバランスを取りながら存在しています。 【五行説】 すべてのものは 木・火・土・金・水という5つの性質に分けて考えます。 それぞれは影響し合いながらバランスを保っています。 例えば 木は火を生み、火は土を生み、土は金を生みます。 一方で、金は木を抑え、水は火を抑えます。 東洋医学では、この五行を体に当てはめ、 「肝・心・脾・肺・腎(五臓)」として考えます。 ここでいう五臓は、単なる臓器ではなく 体の働きそのものを指します。 例えば「肝」は 血の巡り、感情のコントロール、気の流れなどに関係しています。 これらがバランスよく働いている状態が健康です。 しかし、どれかが弱くなったり強くなりすぎると不調になります。 【虚実】 体の不調は 「気」や「血」の不足・過剰として現れます。 ・不足している状態 → 虚 ・過剰な状態 → 実 といいます 「気」は体を動かすエネルギー 「血」は栄養を運ぶもの、血液と思ってください また、気血の五臓への通り道を「経絡」、 その中の重要なポイントを「経穴」、いわゆる「ツボ」といいます。 大切なのは、やみくもにいろいろなツボを刺激するのではなく、 状態に合わせて適切なツボを選ぶことです。 例えば、腎が弱っているなら 腎につながる経絡上のツボを刺激して通りを良くします。 【肩こりとの関係】 虚実を陰陽で見ると 実=陽、虚=陰です。 肩こりは 「陽が過剰」「陰が不足」した状態であることが多いです。 現代人は 交感神経(陽)が優位になりやすく、 副交感神経(陰)が低位になりがちです。 交感神経は昼間動くときに活発にはたらき、 副交感神経は休息時の消化活動などパワーの補充を担当します。 本来は 昼に活動しパワーを使ったら、夜にしっかり休むことでパワーを補充し、 バランスが取れます。 しかし 休めない状態が続くと ・陽(活動)が過剰 ・陰(回復)が不足 となり、 肩こりや疲労が抜けない状態になっていきます。 【施術の考え方】 実(過剰)は悪いものではなく、何かの動きを...

東洋医学の特長「本治と標治」

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  東洋医学では表面的な症状を治すことを標治、本当の原因を治すことを本治といいます。 標治だけでなく本治を行うことが東洋医学治療の特長です。 例えば肩こりがあるときに肩こりだけ治そうとするのは標治です。 本治とは体内の「虚と実」のバランスを調整して、自分の力で自然治癒できる状態にすることです。 虚とは不足している状態、実とは逆にパンパンになっている状態です。 健康な状態であれば一時的に肩こりが生じても自然にもとの状態になります。 「虚と実」のバランスが崩れていると肩こりが自然に治らずどんどんたまっていきます。 そのため、凝っているところを揉んで、一時的に軽くなってもまたすぐに肩こりになってしまいます。 それを根本から調整していくことが本治です。 その際に重要になるのは気血の通り道を正常な状態にすることで、 この通り道を東洋医学では経絡といいます。 そして経絡上の代表的な場所が経穴、いわゆるツボです。 虚実を調整する補法と瀉法 東洋医学では経絡が「虚か実か」を見ながら、「実」に対しては瀉法、 「虚」に対しては補法という治療法で調整していきます。 概ね、鍼治療は瀉法、温灸は補法、 強もみのマッサージは瀉法、やさしい指圧は補法です。